四半世紀の歴史を刻んできたジャパンC。その第1回目から見ている自分のことを考えると、少々ゾッとしたりします。それはともかく、ダート、芝ともに今年のJCは一言でいえば見応えのある素晴らしいレースだったと思います。
それと同時に目に見えない「格」というものを感じさせてくれるレースでもありました。少し話が飛んでしまいますが、23日に船橋競馬場で行われた京成盃グランドマイラーズでは、本来格上であるはずのシーチャリオットがご存じのように惨敗ともいえる内容で敗退。断然の1番人気を裏切る結果になりましたが、このG3戦は大本命馬にとっての”脚慣らし”に過ぎないということをもっと重視すべきだったと反省しきり。
しかし、どの馬も本気モードで挑むG1はやはり「格」を重視すべき。このことをJCダートは身を持って示したといえます。このレースに出走した日本馬13頭のなかでG1連対経験があったのは7頭。3連単37万馬券という波乱決着でしたが、上位3頭はいずれもG1連対経験アリ。素直に格を重視していれば、難なく取れていたレースともいえます。もちろん、そうはカンタンにいかないのが競馬であり、馬券であるというのはわかっているつもりですが…。ただ、デットーリという強力なパートナーを得たとはいえ、サカラートが2番人気というのは過剰人気だったのでは、という思いは捨てきれません。
日曜のJCも、わずかハナ差とはいえ、勝ち馬アルカセットと2着馬ハーツクライとの明暗を分けたのは「格」という目に見えないものだったのでは、という気がします。G1ではわずか1勝とはいえ、ポリシーメイカーやバゴという強敵相手にサンクルー大賞典を勝ち切ったアルカセットに対し、これまで何度もG1では2着に甘んじてきたハーツクライ。そこにあるのはわずか数センチの差かもしれませんが、その数センチでも前に出られるかどうかが実は競馬における「格」というものなのかもしれません。
それとはまた違った意味で「格」の重みを示してくれたのが、5着敗退のウィジャポード。タップダンスシチーがつくり出した12.5-10.7-11.5-11.8-11.8-11.9-12.0-11.8-11.8-11.9-12.0-12.4というハイペースを4角5番手という無謀ともいえる積極策をとりながら、勝ち馬から0.3秒差の5着はこの馬の底力を十二分に示したといえるでしょう。
ただ、残念なこともひとつ。先週のマイルCSに続き、またしても外国人騎手が上位を独占したことです。JC創設期、日本馬が外国馬に勝つには何十年もかかるという悲観論が巻き起こりましたが、それから四半世紀を経たいま、日本馬はホームでなら外国馬とヒケをとらないまでに強くなったといえますが、それを御す騎手はどれくらい進歩したのだろうか。そんなことを考えると、いいレースを見せてもらったという幸福な気持ちと同時に、少しだけ寂しさも感じた今日のJCでした。
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