単勝1番人気に推されたメイショウサムソンの皐月賞に続く2冠達成で幕を閉じた第73回日本ダービー。
混戦模様が伝えられ、日本ダービーで続く1番人気神話もついに終焉を迎えるのではないか。そんな雰囲気も漂うなか、終わってみれば、1番人気馬の快勝。とはいえ、今年の1番人気馬メイショウサムソンはスプリングS、皐月賞を連勝したにも関わらず、単勝オッズ3.8倍という最近10年ではナリタトップロード(3.9倍)に次ぐ支持率の低さ。しかし、レース内容はそうしたどこか懐疑の眼差しに対し、どうだ、といわんばかりの完勝。着差こそクビながら、インで必死の抵抗を試みるアドマイヤメインをかわすと、鞍上の石橋騎手は手綱をおさえる余裕の勝利。
逃げという武器を手に入れることで覚醒したアドマイヤメインも、青葉賞のような後続にも脚を使わせるような逃げが理想だったのでしょうが、渋り気味の馬場では、無理をすると自滅という可能性もあり、今日のペースが精一杯だったのでは。
3着に入ったのはメイショウサムソン同様に過少評価を受け続けた皐月2着のドリームパスポート。今回、7枠14番、徐々に乾き始めて先行有利となった馬場状態という不利をはねのけての3着は高く評価すべきでしょう。もう少し内目の枠を引き当てていれば、得意のイン強襲で上位2頭に迫ることができたかもしれませんが、それはあくまでも仮定の話。しかしながら、過少評価を覆すだけの内容ある走りを見せてくれたのは事実。秋の捲土重来に期待。
個人的に冷や汗をかかされたのが僅差4着のマルカシェンク。2歳秋から3歳春というサラブレッドの重要な成長期に休養を余儀なくされたのは大きなマイナスと見ていたのですが、見せ場たっぷりの4着。スローペースで追走が比較的楽だったというアシストもあったかもしれませんが、あらためてこの馬の潜在能力の高さを満天下に示したという意味では価値のあったレースだったのでは。
5着ロジックもNHKマイルの覇者にも関わらず低評価でしたが、前走がフロックではないことを証明。距離延長でも大崩れしなかったのは、今後の活躍の可能性を感じさせる走り。
期待を集めながら破れ去ったフサイチジャンクは能力だけでなく、皐月に至るまでの臨戦過程があまりに軽すぎたことが敗因だったのでは。タフなレースの経験値の差が今回はモロに出てしまったような印象。
アドマイヤムーンはスタートで後手を踏んだことが最大の敗因。とはいえ、上位馬との比較では底力という面で差があることも否めず。
今年のダービーの結果を見ると、去年10月に行われた「萩S」の2、3、4着馬ドリームパスポート、ロジック、メイショウサムソンが1、3、5着に入り、実は2歳時の勢力図が大きく変動したわけではないことをあらためて示したともいえるような気がします。その一方で、武豊の騎乗馬にメディアや競馬ファンが振り回されて、肝心の馬自身の力関係を見誤ったままダービーを迎えてしまったという側面もあるのでは。いくら武豊とはいえ、すべての有力馬に騎乗できるわけではなく、騎乗馬に恵まれない年もあるのだという考えれば当たり前の事実を教訓として示してくれたのが、今年の3歳牡馬戦線だったのかもしれません。
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