ロジック、ファイングレイン、そしてキンシャサノキセキという重賞未勝利馬のワンツースリー決着となった第11回NHKマイルC。
人気を集めた実績上位馬フサイチリシャール、マイネルスケルツィの2頭は枕を並べて討ち死に。この結果から、騎手力が明暗を分けたともいえるのですが、少しばかり見方を変えると、一連の3歳重賞戦線のなかでのNHKマイルCというレースが持つ位置づけが微妙に変化しており、それがレース結果に微妙に影響を与えたともいえるのではないか、と考えたりもします。
かつては、このNHKマイルCというレース、マル外のダービーともいわれ、クラシックに出走権のない外国産馬の頂上対決という明確な位置づけがあったわけですが、マル外にもダービー出走への道が開かれたことで、このレースの位置づけが曖昧模糊としたものになりつつある。JRA的には、3歳のマイル王決定戦というキャッチフレーズになるのでしょうが、この後に日本ダービーという大一番が控えていると、どうしてもその前哨戦的な色合いを帯びざえるを得ない、ということです。
JRAがなんといおうと、トライアルのように上位馬に優先出走権を与えるという特典がなくても、このレースで賞金を上積みすることができれば、ダービー出走への道が開かれる。事実、今年のNHKマイルの出走馬のなかには、ダービー出走への色気を隠さない陣営がいくつか見られ、レース後には、1、2着を占めたロジック、ファイングレインの両陣営から揃って、ダービー挑戦を明言するコメントが出されました。
かつては、日本ダービーとNHKマイルCは異なるカテゴリーとして、それぞれがレースとしての権威を守っていたのが、そうした図式が崩れ、NHKマイルはダービーを目指す3歳馬にとって前哨戦のひとつになっていくのではないか。そう考えれば、今回の賞金的にはダービー出走が厳しい馬たちの上位独占という結果もある程度納得できるような気がします。
こんなことを書いている私も、レース前には、「3歳のマイル王決定戦」的な見方しかできなかったわけで、そのあたりは悔やんでも悔やみきれないところではあるのですが。
今後のことで、ひとつ懸念されるのが、そういう流れが加速されると、NHKマイルがG1としての格を維持できなくなるのではないか、ということ。懸念という書き方をしましたが、そうなれば格付けをG2に変更すればいいだけの話なのですが、JRAがG1という格付けに固執すると、ファンに対して「3歳マイル王決定戦」という幻影をばらまくだけで、それはそれで問題だろうと思います。
先走りして、そんなことをいまから心配する必要もないといえばないのですが、レースを予想する立場としては、ダービーとは異なるカテゴリーのマイルG1と、ダービー前哨戦を予想するのとでは、おのずから見方が変わってくるのは当然。来年以降、ダービー前哨戦的な見方を予想に取り入れるのも必要なのでは。そんなことを考えさせられた今年のNHKマイルCでした。
バンベリー様、コメントありがとうございます。
そろそろ、JRAのレース体系も抜本的に見直す時期にきているのかもしれませんね。春ににNHKマイル、ヴィクトリアマイル、安田記念と3つもマイルG1があること自体、少しウンザリという感もありますから、NHKマイルを秋に移すというのも、おもしろいかもしれませんね。
それでは、またのぞいてやってくださいませ。
投稿情報: 永井 | 2006-05-08 23:22
訂正
毎日王冠の翌日でした。
投稿情報: バンベリー | 2006-05-08 19:06
前略
同感です。レースが名前に近づいてきた感じがします。率直に言ってG1昇格時の曖昧さはネーミングの曖昧さと全く同じだと思います。私は3歳マイルの価値は充分あると思ってますが、その権威を保つためには施行時期と名前の変更が不可欠ではないでしょうか?具体的には秋、毎日王冠の前週です。そのためには皐月賞の距離短縮も一考の余地があるでしょう。個人的には桜花賞共、京都1800がベストかと思いますが。
投稿情報: バンベリー | 2006-05-08 18:54