●ウォーサン(国際レーティング120)
国際レーティング120は今回のJC参戦馬のなかではパワーズコートと並んでトップです。98年JC15着ルソー(父Salse)の半弟にあたります。この兄弟の共通点としては、やや底力に欠ける点です。G1勝ちは確かにあるのですが、A級馬が揃う凱旋門賞やKGⅥ世&QEダイヤモンドステークスなどでは力不足を露呈します。その意味ではJCは本馬にとって絶好の稼ぎ場所なのかもしれませんが、兄ルソーの15着大敗がやはり気になります。日本でもおなじみのカーリアン産駒とはいえ、母系が日本の馬場に適性があまりないのかもしれません。人気ほどの信頼性はないのでは。そんな気がしています。
●パワーズコート(国際レーティング120)
G1タイトルはタタソールズGCのみですが、ブリーダーズCターフ3着など、強敵相手にも大崩れのないレースを見せています。さらに、アイルランドの名調教師E・オブライエンの管理馬という点がこの馬のブランドイメージを高めています。実績だけを見ればJCで勝ってもおかしくないとは思いますが、アーリントンミリオンでは進路妨害で1着入線しながら4着に降着。他のレースでも度々直線で他馬と接触というシーンが見られるように、気難しい面があるようです。そういう危なっかしいところのある馬なので、能力の高さは認めても中心には推しにくいですね。
●フェニックスリーチ(国際レーティング113)
4歳馬ですが、デビュー後の骨折による休養期間が長く、キャリアはまだ8戦。それでいて、すでにカナディアン国際S(G1)を勝っているわけですから、能力的にはまずまずの馬だと思います。ただ、今年のJCに出走してくるウォーサン、パワーズコート、ポリシーメイカーにはいずれも先着を許しており、さらに今回は4カ月ぶりのレースとなります。父Alhaarthはあまり日本ではなじみのない馬ですが、英2000ギニー、英チャンピオンSの優勝馬 Haafhdを出すなど種牡馬として、まずまず成功を収めています。他馬との能力比較やローテーなどを考慮すると、オサエ評価が妥当かなという感じです。
●ポリシーメイカー(国際レーティング117)
かつて日本のエルコンドルパサーが勝ったことでよく知られるフォワ賞(G2)の今年の優勝馬です。G1勝ちがなく、ウォーサンやパワーズコートに比べると、やはり格下という感は否めません。前走の凱旋門賞でも19頭立てのどん尻。日本のタッフダンスシチーもこの馬には先着しています。サドラーズウェルズ産駒らしい欧州のパワー型ともいうべき馬で、重は[3-0-0-1]と巧者です。出番は馬場が極端に渋ったケースのみと考えていいかもしれません。
●リュヌドール(国際レーティング115)
キャリア7戦の3歳牝馬。前走リディアテシオ賞で初G1タイトルを獲得しています。牡馬の一線級との対戦がなく、能力は未知数です。個人的にはこの馬の母系に流れる「リュティエ」の血が気になります。トウルビヨン系というマイナーな血脈ですが、この血はとてつもない大物(シンボリルドルフ、トウカイテイオー、ビゼンニシキなど)や一発大駆けタイプ(ダイタクヘリオス、ダイタクヤマト、トウカイポイントなど)、あるいはまったく使いものにならない駄馬を数多く出します。まだ底を見せていないリュヌドールは、この「狂気の血」によって、世界的な大物に育つ可能性もあるのでは。そんな気がしています。
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